第十回文学フリマ、出展作品を少しだけ公開
いらっしゃいませっ!
支店長の湯浅でございます。
第十回文学フリマで発売予定の『ちょっぴりエッチで かな~りおバカな 0泊6日!? 夜行快速旅行記』の本文を少しだけ公開します。本には用語解説、写真などがありますが、ブログでは本文のみの公開となりますのでご了承下さい。また、一部ブログ用に修正しています。
【序章 第九回文学フリマにて】
2009年12月6日、東京・蒲田の大田区産業プラザPioで第九回文学フリマが開催された。この本をご覧になっている方の大部分はご存じの事だと思う。
その時にボクは『ちょっぴりエッチで かな~りおバカな JR北海道乗りつぶし旅行記』という作品を発表した。これは鈍行列車を使って東京~北海道内を旅した記録だ。『旅の女神様』に翻弄され、ボクは様々な体験や出会いをする事となった。
今は亡き映画評論家のM氏が読んでいたら、
「いやぁっ! 旅って本当に素晴らしいものですねぇっ!」
こんな感じのコメントをしてくれたであろう。ちなみにこのMとは、マゾという意味ではなくイニシャル(改名前のもの)である。別にボクは彼がマゾかどうかは知らないし、誤解されようと知った事ではない。ただ、トラブルになっても困るのできちんと補足説明をしておく。
――ちなみにこの文章を読んでデジャビュ(既視感)を感じた読者の方は『JR北海道乗りつぶし旅行記』を熟読していただいたか、あるいはモノに触れただけで作者(つまりボク)の記憶を読み取れるという超能力の持ち主であろう。もし後者であれば、涼宮●ルヒに目を付けられて振り回されないように注意してほしい。
なお、この文章はコピペというような手抜きはしておらず、ちゃんと『無』から書き起こしている。その証拠に、文章の細部は変わっているはずだ。同じように見えても変化はあるのさ。ボクのファンの女の子なら、もちろん気付いてくれているよね?
――うん、分かってるさ、ボクもキミの事を信じているよっ!
さて話を戻すが、前作『JR北海道乗りつぶし旅行記』はボクの魅力に惹かれた女性たちが殺到し、大人気となってしまった。結果としてお昼過ぎには完売してしまったのだ。
午後になって来た熱心なファンの女の子は買えずに泣き出してしまい、本当に申し訳ない事をしてしまった。
そうなってしまった以上、ボクは責任を取らなければならない。だって乙女の涙は尊いものなのだからっ!
とはいえ、一夫一婦制の日本において、ボク1人では彼女たち全員を幸せにしてあげる事は出来ない。やはり愛は広く平等に与えてあげなくては不公平だ。
そこで今のボクに何が出来るのか、雪が降り、心も体も凍りつくような寒さの中で滝に打たれながら考え続けた。だが考え込んでしまったばかりに、自分の体力の限界が分からなくなってしまっていたんだ。
「ボク、すごく眠いんだ……。パ●ラッシュ……」
不覚にもボクは大聖堂――ではなくお寺の本堂の中で倒れてしまった。目の前に飾られていたお釈迦様の絵がどんどんかすれ、意識も遠のいていく……。
だが天に召される直前、ボクの耳には世界中にいるファンの女の子たちの声が聞こえてきた。
「そうだ……ボクは……このまま死ねないっ!」
胸の奥に届いた女の子たちの熱い想い、それがボクに再び立ち上がる活力を与えてくれたんだっ!
こうしてアクシデントはあったものの、無事に修行を終えたボクは1つの結論を出したのだ。
やはり、ボクに出来る事は新しい旅行記を書く事ではないか?
しかも緩い旅ではなく、苦行とも呼べるハードな旅にしなくてはダメだっ!
ではハードな事とは何だろう? ムチやロウソクで責め続けられる事か?
――いや、それではダメだ。もしかしたら新たなる快楽に目覚めてしまい、苦行にはならないかもしれない。
ハードといえば、やはり人間の欲望が絶たれる事ではなかろうか? ちなみに人間の三大欲求は、食欲、性欲、睡眠欲だそうだ。
よしっ、これを制限した旅にしようっ! ボクはそう決意した。
まず性欲だが、これを絶ってしまっては旅行記そのものの根幹に影響するので除外した。やはりタイトルに『エッチでおバカ』と銘打っている以上、これがなければオハナシにならないのだ。
それに『エッチでおバカ』でないボクの旅行記なんて面白くない。例えるなら、屋外で露出プレイ(青姦でも構わないが)をしているのに、場所が誰もいない山奥というのでは『誰かに見られるかもしれないというスリルや興奮』が得られないのと同じだ。納得してもらえたよね?
次に食欲だが、こちらは制限出来る。もっとも、普段からヤっている鈍行列車の旅でもまともな食事はしていないので、大きな制限にはならない。
大抵はコンビニのおにぎりやパン、よくて立ち食いソバぐらいだ。近くに店がない、あるいは営業時間外のため自動販売機の水やお茶だけで過ごす事も多い訳だ。だがとりあえず、制限の1つとして挙げておく。
最後は睡眠欲だ。やはりこれを制限するには、深夜に運行している列車を選択しなければならない。しかし寝台やカーペットカーでは楽すぎる。列車の中で出会った女の子と気持ちいい事をしてしまうかもしれない。そう考えると、やはり普通座席でなければならない。
そしてその全ての条件を満たす最適な列車が日本には存在するっ!
そうっ、それが――
夜行快速列車、ムーンライトなのだっ!
ムーンライトとは、JRが運行している夜行列車である。かつては毎日運行(定期列車)されているものもあったが、現在では利用者の減少によって全てが臨時列車となってしまっている。しかも運転されている列車の種類・区間も縮小されているのだ。
2009年12月現在で運行されているのは以下の3種類だ。
・ムーンライトながら(東京~大垣)
・ムーンライトえちご(新宿~新潟)
・ムーンライト信州(新宿~白馬など)
しかし単に1種類だけに乗っても苦行とは言えない。やはり全ての列車に乗らなければならないだろう。日程はもちろん連続していないとダメだ。
では旅立ちはいつにすべきか?
次回の文学フリマは2010年5月23日の予定になっている。抽選に漏れなければその時に旅行記を発表する事になるだろう。
選択肢は年末年始、春休み、ゴールデンウイークの三つ。しかしゴールデンウイークでは執筆時間が少ないので最初に除外した。春休みは旅をするにはいい季節だが、長期休暇が取れるか不明な上、苦行という流れには合わない。
消去法で旅立ちは年末年始という事になった。
うむっ、寒い中で列車の長時間待ち合わせなどは禊ぎの意味合いも込めて最適ではなかろうかっ! あぁ、もっとボクをイジメてっ! 痛めつけてぇっ!
なお、別にボクはマゾではない――と思う。
ここまで計画の基本が確定すれば、使用する乗車券は限られる。また、折角なので乗りつぶしていない線区に行こうという流れになるのも自然だろう。
使用する乗車券についてはすんなりと『青春18きっぷ』に決まった。今回は〔ムーンライトながら(以後、列車名における“ムーンライト”はMLと表記)〕があるため、JR東日本だけでなくJR東海の区間も含まれる事になる。
ちなみに、もしJR東日本のみであれば『JR北海道 乗りつぶしの旅』でも使用した『北海道&東日本パス』を選択していただろう。
次に区間だが、なるべくならたくさんの区間を乗りつぶしたいと考え、地図を眺めて設定。ムーンライトの運行区間を考慮し、今回は南東北と中部を主体に乗りつぶす計画を立てた。
なお、今回は当初から大糸線のJR西日本区間(糸魚川~南小谷)を含める事を決めていた。ここはすでに乗りつぶしているのだが、2010年の3月をもってこの線区から『キハ52形』が引退すると聞いていたからだ。
古い車輌が好きなボクにとって、これは外せない。引退間近になると人が多くて嫌なので経路に含める事にした訳だ。
このように計画が固まった一方、旅の根幹にあった問題がムーンライトの指定席券だった。どの列車も全車指定席なので、これが取れなければ計画そのものが破綻する。もっとも、素人であれば「快速列車の指定席なんかガラ空きだろ? 余裕だって!」と判断してしまうだろう。
――甘いっ、甘すぎるっ! コンペイトウよりも甘いっ!
なぜならムーンライトの利用者は、年始にデパートの福袋を買おうとする客くらい多いのだ。特に〔MLながら〕の指定席券は非常に取りづらい。これは観光客だけでなく、ビジネス客の利用もあるためだ。だから発売とほぼ同時(始発駅基準で運転日の1か月前・午前10時)に売り切れる事も多い。
結果としてムーンライトはいつもイモを洗うような混雑振りで、指定席券を持たずに客が乗ってしまって通路に溢れるといった事が日常茶飯事なのだ。
もちろん、本当は指定席券がないと列車に乗ってはいけないのだが、車掌も料金を収受する事で黙認しているのが現状だ。
――つまり計画が決まった以上、もたもたしている暇はないっ!
ボクはすぐに行動を開始した。幸い、以前は定期列車だった〔MLえちご〕と〔MLながら〕はネットで指定席を確保出来る。
この時点で12月上旬。すでに指定席券の発売を開始して時間が経っていたため、満席も覚悟していた。しかし調べてみると〔MLえちご〕〔MLながら〕のどちらも特定の日は満席だったものの、多くの日はまだ残数があった。これには少し拍子抜けをしてしまった。
ある意味、また『旅の女神様』のお導きなのかもしれない。彼女はいつもボクの味方だからっ! きっとマルス(指定席を管理しているシステム)を操作して席を確保していてくれたに違いない。
普段は素っ気ない態度なのに、いざという時はきちんと導いてくれる。素直じゃないけど一途な想いを寄せてくれるそんな彼女が大好きさっ!
おっと、もちろん好きの意味はlikeであってloveじゃないから、ファンの子も安心してねっ。
なお、現実的に考えると今回の状況は帰省客の一部が高速道路割引による自動車へシフトしたからだろう。鉄道各社の営業収入が減っているというニュースをよく見るが、どうやらそれは本当らしい。フフフ、これはきっと今までボクたち貧乏旅行者を虐めてきた罰があたったのだぁ!
泣けっ、喚けっ、土下座して許しを請うのだっ! ご主人様と呼べ、このメスブタがぁっ!
――どうだい? たまにはサディスティックなご主人様を演じたボクも、新鮮な感じがして興奮するでしょ?
こうして〔MLえちご〕と〔MLながら〕の指定席は確保した。問題となるのは〔ML信州〕だ。この列車は設定された当初から臨時列車だったため、ネットで席を確保する事が出来ない。
もっとも、この列車だけは他のムーンライトに比べて利用者は少ないため、不安は大きくなかった。事実、数日後に駅で指定席券を購入したのだが、席の選択が自由自在だった。こうして指定席券は無事に全て確保した。
それにより経路も次のように確定した。
【12月26日】
・新宿23時54分発の臨時夜行快速〔ML信州81号〕で白馬へ。
【12月27日】
・白馬から大糸線と篠ノ井線を南下し塩尻へ。
・塩尻から中央本線辰野支線で辰野、さらに飯田線で豊橋へ。
・豊橋から東海道本線で岐阜へ。
・岐阜から高山本線と太多線を経由して多治見へ。
・多治見から中央本線で金山へ。
・金山から東海道本線と武豊線で武豊へ行き、折り返して大府に戻る。
・大府から東海道本線で豊橋へ。
【12月28日】
・豊橋0時17分発の臨時夜行快速〔MLながら〕で東京へ。
・休養後、新宿23時10分発の臨時夜行快速〔MLえちご〕で長岡へ。
【12月29日】
・長岡から信越本線と上越線を経由して越後川口へ。
・越後川口から飯山線で豊野へ。
・豊野から信越本線と北陸本線で糸魚川へ。
・糸魚川から大糸線と篠ノ井線、中央本線で新宿へ。
【12月30日】
・上野から東北本線で仙台へ。
・仙台から仙山線と奥羽本線で山形へ。
・山形から奥羽本線と左沢線で左沢へ行き、折り返して米沢へ。
・米沢から米坂線と羽越本線、白新線で新潟へ。
・新潟21時10分発の臨時夜行快速〔MLえちご〕で新宿へ。
【12月31日】
・新宿から帰宅。
――こうして0泊6日 夜行快速の旅は動き始めたのである。
いかがでしょうか? ここは序章なのでまだ大人なしめの内容になっていますが、これからエッチでおバカになっていきます。続きは実際に会場でご覧下さい。
立ち読み・冷やかし大歓迎ですので、ぜひブース(N-6)へお越し下さい。詳しい出展内容は一つ前の記事をご覧下さい。
以上です。本日もご来店、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。
| 固定リンク
「そよ風文芸食堂」カテゴリの記事
- 文学フリマ東京39の御礼とご報告(2024.12.03)
- 文学フリマ東京39、お疲れ様でした!(2024.12.01)
- 本日は文学フリマ東京39です!(2024.12.01)
- 文学フリマ東京39 出展情報(最終更新:2024年11月28日)(2024.11.28)
- 2024年10月の状況(2024.10.20)
「イベント関係」カテゴリの記事
- 文学フリマ東京39の御礼とご報告(2024.12.03)
- 文学フリマ東京39、お疲れ様でした!(2024.12.01)
- 本日は文学フリマ東京39です!(2024.12.01)
- 文学フリマ東京39 出展情報(最終更新:2024年11月28日)(2024.11.28)
- 2024年10月の状況(2024.10.20)
「公開作品」カテゴリの記事
- 第27回島村渡船フェスタ旅行記(2022.05.16)
- 電子書籍一覧:2021年2月9日現在(2021.02.09)
- 電子書籍一覧:2020年6月9日現在(2020.06.09)
- 電子書籍一覧:2020年5月15日現在(2020.05.15)
- 電子書籍一覧:2019年5月22日現在(2019.05.22)
コメント